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男達よ、ミジンコに学べ! - 天道公平

2021/04/12 (Mon) 16:46:25

1/24の粕谷大人の投稿に、「内田先生の著作は、最新のものは【サル化する世界】。【人口減少社会の未来学】は購入していません。」とありますが、買わなくて良かったです。4/10に文春文庫から出ました。

私は書店で見かけて、文庫版スペシャル対談だけ立ち読みして済ませましたが、粕谷大人には『サル化する世界』よりもこちらの方がお薦めです。

特に、池田清彦先生による「ホモ・サピエンス史から考える人口動態と種の生存戦略」という章と、小田嶋隆さんの「少子化をめぐる世論の背景にある『経営者目線』」という章は素晴らしい。

とりわけ印象深いのは、小田嶋さんが披露しているミジンコの話です。こんな話です。

「ミジンコは、生息する湖沼の生存環境が良好である限りにおいて単為生殖をすることで知られている。
単為生殖というのは、雌だけで卵(単為生殖卵)を産んで世代交代を繰り返すということで、だから、普通の沼や池には雌のミジンコしかいない。
ところが、ミジンコが増え過ぎたり、エサが欠乏したり、水温が下がったり、太陽光が不足したりという、ミジンコにとっての生育環境が悪化すると、彼らは雄を産むようになり、その雄と雌との間で「耐久卵」と呼ばれる受精卵を作る。
この受精卵は、乾燥や環境の変化に強く、沼が干上がっても次に水が満ちる時まで、生き残ることができる。」

本当に素敵な話だ、と私は思います。私は以前、この談話室の投稿で、「生命体のデフォルトはメスである。オスはただの付け足しである。」と書いたことがありますが、そのただの付け足しの存在理由をミジンコは見事なまでに教えてくれます。オスの端くれである私は、ミジンコの生存戦略に拍手喝采を贈りたい。

Re:天道兄、 相変わらずの切り口 - 粕谷隆夫

2021/04/14 (Wed) 05:59:46

 『少子化をめぐる世論』、そしてその背景にある『経営者目線』ですか。社会・経済学者の膨大な情報にうずもれてしまう中で、生命科学という切り口を示してくれる天道兄は新鮮です。オスは【耐久・忍耐】の点で、役立っているのですか。

 小生、いまだ中村桂子さんに拘泥しているのが現状です。生命の起源から今にいたる38億年の物語。『生きものが環境変化に対応しながら命をつないできた重要性』・・あれ、ここの部分、ミジンコです。

 彼女は、進歩拡大を良しとする競争社会が真のしあわせをもたらしているのかと、疑問を呈しています。『研究という行動のあり方』で、トウモロコシを用いた染色体研究のバーバラ・マクリントックさん(米国女性)が時間をかけて『トウモロコシの粒の色が変わるのは遺伝子が動いているから』と発見し、ノーベル賞を受賞した。当時は誰も相手にしなかった。つまり研究とは、自己の信念に従い、楽しむことが基本といいます。どうもこのひとの魅力にまだ引っ掛かっています。同じ桂子でも、柳澤氏はまだ遠いオアシスです。

二人の桂子 - 天道公平

2021/04/15 (Thu) 09:59:19

オアシスの存在を知って下さっただけでも私は嬉しく思います。

今年になるまで中村桂子さんを知らなかった粕谷大人が、柳澤桂子さんを知るはずもないので、私の書いた『柳澤桂子コレクション』という言葉に反応して検索して下さった、ということでしょう。

同じ時代にこの世に生を受け、同じ志を抱いて生命科学の道に身を投じ、同じように将来を嘱望されながら、全く対蹠的な人生を歩むことになってしまったこの二人の桂子さんは、若い頃の私にとって憧れの女性でした。

この歳になって振り反ってみると、私は、自分が元気な時には中村桂子さんを読み、弱っている時には柳澤桂子さんを読んできたような気がします。

自分よりはるかに弱っているはずの柳澤桂子さんの放つ輝きにどれほど勇気づけられたことか。「書くことだけが、唯一の社会との繋がりであった。」と述懐する柳澤桂子さんの文章は私を打ちのめすと同時に、生きる意欲を与えてくれました。感謝するしかありません。

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