回想 イトマン事件 大塚将司 - 粕谷隆夫
2021/06/23 (Wed) 06:55:40
副題が【闇に挑んだ工作 30年目の真実】(岩波書店)。ついに出たかの感あり。
大阪の商社イトマンへの住銀からの乱脈融資。5000億円が不良債権となり、大半が闇社会に消えました。戦後最大の経済事件といわれています。日経記者の著者が、住銀エリートの國重氏と組んだバブル打開工作。イトマン従業員を装った内部告発文書、すなわち記者の禁じ手【レター作戦】である。大蔵省銀行局長と、日経新聞の社長へ送りつける。
ここで面白いのは、記事化に怯む日経編集幹部の姿で、やはり【幹部】は【患部】なのです。
時間が過ぎて、バブルを潰せの大合唱がメデアに起きるが、株価暴落のさなかでも金融引き締めを続ける日銀、不動産融資規制に加えて、地価税を導入する大蔵省、何なのこれ?不動産相場の底が抜け落ち、不良債権が膨張して、金融の機能不全が起きましたね。経済インテリさん達も、忸怩たる思いが今も募っているでしょうね。
編集部村野氏が、【水源地】2号で、『バブル:日本迷走の原点』(1980~1989)を紹介しています。【水源地.com】参照。
話は別ですが、『自分の細胞とキノコの細胞を見分けられない。ほとんど同じだ。面白いね』と娘に話しかけるようになりました。『お父さんは19世紀的人間』という言葉が、最近聞こえなくなりました。