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稚内 - 粕谷隆夫

2021/10/16 (Sat) 11:00:23

 東京でコロナの罹患者が一日100人を切って一週間になります。緊急事態宣言も解除されました。こうなると春でもないのに、啓蟄(すごもりのむし)戸を啓くとなります。「どうですか」という木霊です。さっそく今日(16日)午後3時につくばエクスプレス「流山おおたかの森」駅にひとりの男が降り立ちます。すなわち呑み虫。カレンダーに赤いシールを貼ると、わが細君がふたたび呆れる。「また始まるの」。仕事で知り合った方たちだが、「仕事だ!」がもう通用しません。もう60~70代の渋い魅力(?)の男達だが引退しています。

 最近は歌を忘れたカナリアに近い。今日会う男が言った。「最終電車が着く度に よく似た女が降りてくる そして今日もひとり 明日もひとり 過去から逃げてくる・・真冬に裸足は冷たかろう 大きな荷物は重たかろう なのに今日もひとり 明日もひとり 過去から逃げてくる・・落葉の舞い散る停車場は 悲しい女の吹きだまりか。場所はどこだろう」「決まっているだろう、稚内だ」。

 彼の部下が聞いた。「霧が流れてむせぶよな波止場 海を渡ってそれきり逢えぬ 昔馴染のこゝろと心 帰りくる日をたゞそれだけを 俺は待ってるぜ いったいかわいい彼女は何処へ行ったのでしょう」「樺太ですよ。あなた稚泊連絡船を知らないの。常夏のハワイが目に浮かぶの」。後日、「粕谷さん、時代が違っているんじゃない」と言われましたが・・・。

 「人間に対して為され得る最も根本的な区別は次の二つである。一つは自らに多くを要求して困難や義務を課す人、もう一つは・・」「オルテガの教訓ですか。勘弁してよ。とにかく慎み深い自己沈潜を忘れないようにしますよ」。

 豊富から稚内まで通勤している伊藤さんは元気かな?


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