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8月のベスト・スリーか - 粕谷隆夫

2022/08/03 (Wed) 07:59:56

 8月に入ったばかりの作品ですが、このエッセーは今月のベスト・スリーに残るんじゃありませんかね。

 滑川町か。6年前というと、この方は59歳。もう小学校3年生のお孫さんがいたのか。さまざまな人生。静かな平和な国で生活していれば、だれでもが感じる素朴な幸福感です。


Re: 子どもたちの詩 - 粕谷隆夫

2022/08/04 (Thu) 08:37:00

 いつも不思議に思うのですが、子どもたちの詩(うた)には、「苦渋と苦汁」がありません。

Re: 子どもを嘗めてませんか? - 天道公平

2022/08/07 (Sun) 12:51:30

何が不思議なのか私にはよく解りません。新聞の詩の投稿欄に詩を書いて送るような子供の詩(うた)に「苦渋と苦汁」がないのは当たり前の話です。選ばれて新聞に載るようなことを期待しながら詩を書く子供たちが「苦渋と苦汁」を詩にしようなどと思うはずがありません。大人たちの考える子供像に添うようなものしか新聞紙上には載りません。

私は10才の時に、「こんな大人には絶対にならないぞ!」と固く心に誓った日のことを覚えています。その「大人」というのが自分の父親ですから、一人では生き抜くことができない子供にとってはかなりの苦渋です。それを言語化して詩に昇華できるような能力は備わっておりません。

「苦渋と苦汁」を知ってしまった子供たちが、これだけは書いておきたいと思って書いてしまった詩(のようなもの)ならば、おそらく大人の目からは隠しておこうと考えるでしょう。そういうものを公表してもいいんだ、と思えるようになるのは大人になってからの話です。

茨木のり子の詩を紹介しておきましょう。

   【こどもたち】

こどもたちの視るものはいつも断片
それだけではなんの意味もなさない断片
たとえ視られても
おとなたちは安心している
なんにもわかりはしないさ あれだけじゃ

しかし
それら一つ一つとの出会いは
すばらしく新鮮なので
こどもたちは永く記憶にとどめている
よろこびであったもの 驚いたもの
神秘なもの 醜いものなどを

青春が嵐のようにどっと襲ってくると
こどもたちはなぎ倒されながら
ふいにすべての記憶を紡ぎはじめる
かれらはかれらのゴブラン織りを織りはじめる

その時に
父や母 教師や祖国などが
海蛇や毒草 こわれた甕 ゆがんだ顔の
イメージで ちいさくかたどられるとしたら
それはやはり哀しいことではないのか

おとなたちにとって
ゆめゆめ油断のならないのは
なによりもまず まわりを走るこどもたち
今はお菓子ばかりをねらいにかかっている
この栗鼠どもなのである


大人たちはかつてこの「栗鼠ども」であったはずの自分のことを忘れ果てています。子供を嘗めてかかって油断しすぎです。「異文化としての子供」(本田和子)を知ろうとする努力が足りません。

Re: 追記 - 天道公平

2022/08/07 (Sun) 14:15:20

〈今週の茨木のり子〉はもう終了ですか?

Re: 詩から詩人そのひとへ - 粕谷隆夫

2022/08/08 (Mon) 06:29:02

 このたび私  年  月  日  にてこの世におさらばすることになりました。
 これは生前に書き置くものです。
 私の意志で、葬儀・お別れ会は何もいたしません。
 この家も当分の間、無人となりますゆえ、弔慰の品はお花を含め、一切お送り下さいませんように。
 返礼の無礼を重ねるだけと存じますので。


 茨木のり子のこの「別れの手紙」の原稿は鉛筆書きで、それを三つ折りの葉書大の手紙として二百五十部印刷した。それが死の三ヵ月前。そこに自らのスナップ写真が一点添えられていた。

 彼女の甥が聞いていた伯母の遺言は、この「別れの手紙」に、死亡の日付と病名を入れ、リストにしたがって発送してもらいたい。ただそれだけであった。

 最近、彼女の詩よりも、茨木のり子自身がわたしの前に立っています。

 「別れの手紙」の後段こそ、まさに絶唱です。

 「あの人も逝ったか」と一瞬、たったの一瞬思い出して下さればそれで十分でございます。
 あなたさまから頂いた長年にわたるあたたかなおつきあいは、見えざる宝石のように、私の胸にしまわれ、光芒を放ち、私の人生をどれほど豊かにして下さいましたことか・・・。
 深い感謝を捧げつつ、お別れの言葉に代えさせて頂きます。
 ありがとうございました。


Re: お別れの手紙 - 天道公平

2022/08/15 (Mon) 10:44:25

茨木のり子さんのお別れの手紙の紹介の仕方としては失敗ですね。こんな素晴らしい手紙の文章を途中で断ち切って余計な解説を添えるべきではなかった。一息で全文を読んでもらうようにした方がよかった。残念です。

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